0人が本棚に入れています
本棚に追加
「あのね、二人にさっき、おつかいを頼んだんだよ」
「おつかい、ですか」
「うん、お砂糖とシナモンと、ブラックペッパーに煮干し、獅子唐とあとドライフルーツをいくつかね」
あれ、なんか違和感。
隣には新作ケーキの構想に使いたくて、と笑う壱弥さん。
あれ、やっぱなんか違和感。
「……壱弥さん、今日はネコと月見酒ですか」
「あれ、よく分かったね」
新作ケーキが獅子唐入りだと考えたくなかっただけです。
しかしどうやらあの二人、買い出しが主な目的だったらしい。
それが何故狩りになったのか。
疑問は残るものの、とりあえずは二人を行かせても大丈夫のようだ。
ふと姉御の側で虫取り網を握るサルが目に入った。
まだバイトを始めて一ヶ月も経っていないのに、もう姉御の横にいても不自然じゃないくらいに溶け込んでいる。
(……まぁアイツの場合は性格もあるだろうけど……、?)
なんとなく壱弥さんに目をやると、まだ二人を見つめていた。不意のタイミングで、唐突に話しかけられる。
最初のコメントを投稿しよう!