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「はい、コレ」
「? 何ですか」
手渡されたのは、チェック柄にリボンの装飾がついた、可愛らしい大きめな手提げ鞄。が、二つ。
どうやら買い物用らしい、赤と青、色違いのソレを受け取り姉御を見ると、モタモタしない! と強引にもさっさと歩き出してしまった。サルがまだですけど。つか何で鞄が二つも。そんなに買うものは無かったハズだが。
そしてこの鞄は誰のだ。店のじゃない。姉御? いやいやまさかこんな可愛いのが、
「あ、ちなみにソレ私の私物だから」
「え」
汚したら罰金百万よ! と既に数メートル先まで進んだ姉御が叫ぶ。なんというか、やっぱり理不尽だった。
(横暴だ……)
間違いなく暴君。
とは言っても姉御に逆らう気は端から無いので、可愛らしい手提げを片手に仕方なく返事をして俺も歩き出す。置いていったなんて知ったらまた煩いんだろうな……アイツ。
とか思ってたら後ろからバタバタと騒がしい足音がして、サルが追いついてきた。ちゃんと網は置いてきたらしく、手ぶらの状態だ。
「拓真、姉御は!? 狩りは!?」
そんなもん最初から予定にねぇよ。
とりあえず持っていた手提げ鞄を二つともサルに押しつけ、姉御のもとへと駆け出した。
「あ、ソレ、汚したら罰金だから」
「え!?」
慌てて走り出すサルに、姉御のだから丁重に扱えよと言い残せば、えええ姉御の!? とこれまた大きなリアクション。
うん、その気持ちはよく分かる。
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