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「どうせ、この学校にも俺を満足させるような声を持ってるやつなんていないんだろ。友達もできることなんてねぇだろう…まぁ、せいぜい短い間だがよろしく。」
ざわついていた皆がその言葉に度肝を抜かれ、一気にその場空気は凍ついた。
そして、まるで自分の席に戻るかのように教室にひとつだけ空いた席にドカッと座った。
先生もさすがに場の雰囲気の悪さに気がついて咳払いをひとつして
「ま…まぁ、神田春樹くんとみんな仲良くやってください。」
そして、いつものようにホームルームが終わったのだが誰も転校生に触れるものはおらず。
みんなはまたいつものように他愛もない話で盛り上がっている。
タカトはいつものように学校から帰って来てから、ベッドで考え事をしていた。もちろん、あいつのことだ。
「"俺を満足させる声"とかなんとか言ってたよなぁ。一体なんのことだよ…意味のわからないやつが来たもんだなぁ。まぁ、所詮僕には関係のないことか…」といつものように勉強机に立ち向かった。
結局、明くる日も明くる日も彼は誰とも喋っている様子もない。
ところが、彼が来てから1週間ほどの時が過ぎた頃の事だろうか…タカトは誰かの視線を感じるようになっていた。そして、ある日、依を決しておそるおそるそちらを見てみると…
まさかの彼と目が合った。自分も彼と同様に無口だから何も気にさわることは言ってないはず…ととりあえず、顔を伏せることにした。
「頼むから来ないでくれ…」と心から願い、もう来ないから大丈夫だろうと顔を上げ彼の席を見ても彼はいなかった。
ただの思い過ごしでおそらく、トイレだったのだろうと「ふぅ、良かった~。」と独り言をついた。
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