第一章:とんでもない女

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『取りあえず無事そうで良かったです 今後は気をつけてくださいね』 「あ、待て峯岸!」 去ろうとした峯岸の腕を、がしっと掴む。 峯岸は一瞬驚いたような顔をしたが、すぐ顔をしかめさせた。 『…隊長さん、お酒臭いです』 「わ、悪ィ…って!そんなことより!」 『はい?』 相変わらず無表情だが、面倒臭いと感じていることが分かる。 しかし、原田はそれでも構わずに続けた。 「お前…女か?」 二人の間に流れる空気が、完全に止まった。 峯岸は驚いたような顔もせず、黙って原田を見る。 数秒原田を見た後、峯岸は口元にわずかな笑みを作った。 『何故そう思いましたか?』 「最初は他より背が低くて声が高いな、としか思わなかった だが、稽古の後でも汗臭くなかったし、さっきも肩幅が異常なほど狭かった 今だってそうだ、腕も女としか思えねーくらい細い」 『………』 峯岸は一度無表情になったが、また笑みを浮かべた。
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