第一章:とんでもない女

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『隊長さんは他の先生方よりも鈍そうだと思ってたので、少し意外です』 「はぁ?」 峯岸は原田の腕を払うと、口だけの笑みを絶やさずに言った。 『そうです、僕は女ですよ』 昔から女らしい体つきだった、とでも言い訳をしていたら、あるいは隠し通せたかもしれない。 しかし峯岸は、堂々と自分の正体を明かした。 「…峯岸、分かっているのか? 新選組は女人禁制だぞ、こんなことして、もし土方さんにでもバレたりしたら…」 『なら、隊長さんはバレないうちに僕を追い出しますか?』 「なっ…」 思いもしなかった返事に、原田は一瞬たじろいだ。 「…もし追い出したら、お前はどうなる?」 『そうですねぇ…その辺で餓死でもするんじゃないですか? あるいは性癖のあるおじさまに拾われて、一生慰めものとして尽くすとか…』 平然と自分の身に起きるかもしれないことを話す少年…ではなく、少女。 その神経に、原田でさえ度肝を抜かされそうだ。
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