第一章:とんでもない女

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「…新選組には、何が目的で入って来た? 長州の間者なんかじゃねぇだろうな?」 『………』 峯岸の顔から浮かんでいた笑みが消える。 『…確かに僕は長州出身です』 「!!」 原田はほぼ反射的に刀の柄を握り、身を屈める。 意味することは、いつでもお前を斬れる、ということだ。 『ただそれだけですよ、僕は攘夷や思想に興味ない 僕はただ人探しをしに、京都に来たんです』 「人探し…?」 刀の柄は握ったまま、上体を起こした。 『父と姉です』 一瞬、峯岸に'悲しい'という感情が現れたような気がした。 「…何で探さなくちゃなんねーことになった」 『家にいなくなったからです』 「…あのなぁ」 真面目に答える気はあるのか、と呆れる。 しかし峯岸は断じて自分のペースを崩さない。
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