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『どこにいるのかは分からない…でも、二人とも京都にいることは確実なんです
姉はどこかの遊郭、父は京都で隠れて攘夷運動をしているらしいんです』
「今までの話の証拠は?」
刀の柄からも手を放し、峯岸を見る。
『ありません』
「…おい」
『僕が尊攘激派に見えますか?』
「な、何だ急に」
『見えますか?』
「…全然見えねーが」
『これが証拠です』
「………」
完全に何も返せなくなる。
話術でも身につけてるのか?と思わず疑う。
『二人を見付けるまで、ここから立ち去るつもりはありません
たとえ隊長さん命令でも、従いません』
今までの峯岸とは違い、何かの決意を胸に、真っ直ぐ原田を見つめてくる。
『…駄目…ですか?』
ドキっと心音が一度響いた。
同時に、あることに気付いた。
もしここで追い出したら、俺は女に最低なことをしたことになるのか?と。
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