第二章:武田観柳斎

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「峯岸自身は多分気付いてないけど、武田隊長が峯岸のことをずっと見ている…って噂を聞いたことがあります」 「な…武田さんが?」 武田観柳斎は、十月の初旬にやって来た、なんとも胡散臭く既にほとんどの隊士から煙たがられている男だ。 甲州流軍学の知識があり、学がなく一流好きな近藤のお気に入りなため、五番隊組長の役を担っている。 同時に武田は男色家で、原田も時々被害に遭っている。 その武田が、峯岸を女だと気付かず狙っているらしい。 「(そりゃ一大事じゃねーか…)」 もし峯岸が女だとバレたら、武田のことだ、手柄を独り占めして近藤に報告するに違いない。 「(大丈夫なのか?峯岸の奴)」 助けはしないと言ったが、困っている人間を見捨てられないのが、原田と言う男だ。 自分が心配され、狙われてるとも知らず、峯岸は無表情で歩いていた。
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