1631人が本棚に入れています
本棚に追加
「峯岸自身は多分気付いてないけど、武田隊長が峯岸のことをずっと見ている…って噂を聞いたことがあります」
「な…武田さんが?」
武田観柳斎は、十月の初旬にやって来た、なんとも胡散臭く既にほとんどの隊士から煙たがられている男だ。
甲州流軍学の知識があり、学がなく一流好きな近藤のお気に入りなため、五番隊組長の役を担っている。
同時に武田は男色家で、原田も時々被害に遭っている。
その武田が、峯岸を女だと気付かず狙っているらしい。
「(そりゃ一大事じゃねーか…)」
もし峯岸が女だとバレたら、武田のことだ、手柄を独り占めして近藤に報告するに違いない。
「(大丈夫なのか?峯岸の奴)」
助けはしないと言ったが、困っている人間を見捨てられないのが、原田と言う男だ。
自分が心配され、狙われてるとも知らず、峯岸は無表情で歩いていた。
最初のコメントを投稿しよう!