第二章:武田観柳斎

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───── ── 見廻り終了後、新八でも誘って稽古でもするかーと考え、永倉の部屋へ向かう原田。 「…げっ」 原田の視界の隅にちらりと入った、噂の男、武田観柳斎。 武田の視界にも原田が入ったらしく、こちらに近付いてくるのが分かった。 物凄く笑顔で。 「原田くん、見廻りご苦労であった」 逃げようとしたが、それは叶わず、距離があるにも関わらず武田が声をかけてきた。 「(ったく、本当ムカつくヤローだぜ…)」 武田が何より煙たがられている理由は、男色家ということよりも、この上から物を言う態度だ。 近藤のお気に入りであるから、よもや逆らう気はないだろうな?と武田は考えているようだ。 事実、武田は軍学を近藤に教える際近藤を最大級に褒めちぎり、信頼を得たところで気に入らない平隊士、更に幹部の愚痴までも溢すという。 そのため隊士たちは、なるべく武田と関わらないか、あるいは武田に常にまとわりついて近藤からの信頼を得ろう、と考えている者で分かれているらしい。
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