第一章:とんでもない女

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新選組に衝撃の事実が発覚したのは、十数日前のことだった。 長州からの間者が、四人も潜り込んでいた。 九月二十六日に二名を討ち取ったが、残り二名は取り逃す、という失態をした。 再発を完全に防ぐためにも、日頃から隊士たちを注意して見なくてはならない。 まずは今から隊の様子を監察して、報告しろと命令が下った。 そして、この男、原田左之助。 彼は短気ながらも十番隊組長を任せられる腕前を持つ。 剣よりも槍が得意で、槍だけなら新選組内でも最強と言って過言ではない。 槍は宝蔵院流を使っていて、昔は伊予松山藩の中間をしていたが、後に出奔した。 長州の間者が易々と入り込んでしまう状況を何とかするために、徹底的に調査する。 特に計算などはなかった。 不審者がいたら、ソイツをしょっぴくだけ。 単純ながらも、これは新選組に大きく貢献しているはずだ。 そこに、'ソイツ'がいた。    
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