第十三章:菜緒と菜歩

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ずーっと、ということは。 この遊女は、峯岸が寝た時から隣に居続けたのだろうか。 なんて物好きな人なんだ、と思い、ふと視線を羽織に落とす。 『………あ、』 よく見てみれば、この羽織は姉が使っていた物と同じ柄。 懐かしい気持ちになったが、羽織を返そうとしていたことを思いだし、遊女を見る。 『あの、この羽織…』 遊女の顔を見た瞬間、 時が止まるような感覚。 羽織を持ったまま、遊女の手を引いて部屋を出た。 「…菜緒?」 部屋から飛び出す峯岸を、原田は物珍しそうな顔で見る。 遊女を連れて、泣きそうな顔をしていた峯岸。 「(どうも様子がおかしいな)」 野生の勘で正常ではないことを感じ取り、適当な理由で腹自慢を終わらせ、後をつけた。
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