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「(どこまで行くんだ?)」
部屋をとるわけでもなく、二人は人通りの少ない、裏方のほうまで来ていた。
物が沢山置いてあるから、原田的には好都合なのだが。
そこで峯岸はようやく足を止め、手を放した。
「…先生、どうなされたんですか?」
遊女の口が開かれる。
距離は少し遠いが、声はここまで聞こえた。
峯岸は、じっと遊女を見る。
そして、口を開いた。
『…お姉ちゃんだよね?』
「(………え?)」
あの人が、
菜緒の探し求めていた、姉?
後ろからしか分からないが、確かに肌の白さは峯岸そっくりだ。
綺麗で癖のない黒髪も、よく似ている。
お姉ちゃん、と呼ばれた遊女は、目を見開いて固まった。
「……菜緒…なの?」
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