第十三章:菜緒と菜歩

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『…なら、僕だって同じだよ』 姉に掴まれている手を払い、真っ直ぐに目を見る。 『僕以上にお酒嫌いなのに、いつまで遊女として働いているの? 早く遊郭なんて抜け出して、長州に帰ってよ』 自分が言ったことと同じことを言い返され、一瞬姉は面食らうが、すぐ威勢を取り戻す。 「それは無理よ、私は売り飛ばされた身なんだから それに、店主さんには恩があるから、買われない限りここから出て行かない」 『僕も無理なんだ、新選組を勝手に抜けると斬られちゃうから それから、お姉ちゃんは新選組を誤解してるよ』 「え?」 『僕も、最初はお姉ちゃんたちを早く見付けて、すぐに抜けようって思ってた 長州を目の敵にしてたから、居続けるのは辛いと思ってたから でも、』 姉がそうしたように、峯岸は姉の腕を掴んだ。
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