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「いや、あの!これは何つーか…そう、隊士!隊長として自分の隊の人間を守るのは当然で…」
「原田先生?
遊女に嘘は通用しませんよ?」
うぐ、と誰が見ても答えに困っている原田を、菜歩はくすりと微笑む。
「…本当、いい人に恵まれたね、菜緒」
『え?うん』
さも当然かのように返事をする峯岸に、菜歩は一度苦笑いを浮かべる。
それから、ちょいちょいと峯岸を手招きした。
『?』
峯岸は逆らわず近付くと、ぎゅうっと抱きしめられた。
菜歩は突然のことにぽかんとする峯岸の頭を、優しく撫でる。
「大変だったね、菜緒」
『…お姉ちゃん?』
あまりにも優しい声音の菜歩。
そこで、原田は見た。
菜歩が瞳に涙を浮かべていたことを。
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