第十三章:菜緒と菜歩

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「新選組に入隊したなら、まだまだこれからも苦労すると思う でも、絶対逃げ出したら駄目よ 一度決めたことは、最後まで前を向いて頑張りなさい 菜緒には、素敵な隊長さんがいるんだから」 『…うん、頑張る』 峯岸の声が、わずかに震える。 今更ながら、菜歩と会えた実感が沸いたのだろう。 菜歩はぐっと自分の涙を拭うと、にこっと笑った。 「ほら、泣かないの! 女の子は笑顔でいるのが一番可愛いって、お母さんに言われてるでしょ?」 『っ…分かってるよ』 それでも、峯岸の体の震えは止まらない。 踏ん張っていた涙も、ぽろぽろと溢れ落ちてきた。 ふぅ、と微笑みながら菜歩は溜め息をつく。 「原田先生」 ぽんぽんと峯岸の背中を優しく叩きながら、原田を見た。
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