第十三章:菜緒と菜歩

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「こんな子ですけど、根は優しい子なんです どうか菜緒のこと、今後も面倒を見てあげてください」 「…ああ、分かってる」 優しくなければ、長州が目の敵にしている京にまで、一人で家族を探しに来ることはないだろう。 「菜緒は、何があっても俺が守るって決めたんだ 菜緒が側にいる限り、いくらでも面倒見てやる」 だから、ずっと俺の側にいろ。 きっとこの本当の意味は、菜緒は気付かないんだろうな。 「…ありがとうございます」 菜歩は、峯岸の肩を支えたまま、原田に近付く。 何だと思って見ていると、ぽんと峯岸の背中を叩いて、抱きつくような形にさせた。 混乱する原田の耳に、そっと菜歩は口を近付ける。 「言っておきますが、その子は簡単には落とせませんよ」 「!?」 「ふふっ…私は先に戻っていますね」 悪戯っ子のような笑みを浮かべて、菜歩は去って行った。 『…?お姉ちゃん何て…』 「い、いいから戻るぞ!」 峯岸の言葉の続きをかき消すように、ズガズガと歩く原田。 「(くっそー…姉妹揃って油断出来ねぇな)」 笑った顔も、よく似ていた。    
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