第十四章:三条制札事件

3/12
1631人が本棚に入れています
本棚に追加
/403ページ
今日、九月十二日は、監視を始めてちょうど三日目だった。 三条大橋を中心とした三カ所に隊士が配置され、包囲体制をとれるよう準備している。 原田と峯岸は、高札場からは少し離れた場所に陣取っている。 原田の班は、十二名。 橋の東側、荒物屋には大石鍬次郎率いる十名、西側の酒屋にも十二名。 更に橋の下には、変装した連絡係の二人の隊士がいて、大袈裟なほど準備は整っている。 ここまでしなくても…とは思うが、逆にここまでしないといけないほど、幕府の威信が落ちたということだ。 「あー、イラつくぜ」 犯人の目星のつかないまま時間だけが過ぎて、原田だけでなく、みんな歯痒さを感じている。 平然とぼーっとしていられるのなんて、峯岸ぐらいだ。
/403ページ

最初のコメントを投稿しよう!