第十四章:三条制札事件

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「なぁ、犯人誰だと思う?」 「そんなの、長州人に決まってんだろ 高札引っこ抜くなんて馬鹿げたこと考えるなんて、長州以外に有り得ねぇ」 そんな隊士の会話が、どこかから聞こえてきた。 その会話が聞こえたからなのか分からないが、峯岸はすっと下を向いた。 隊士の憶測も、無理はない。 高札に書かれている内容は、長州を朝敵と見なす、ということ。 これに長州人が腹を立てた、ということが一番筋が通る。 しかし。 「菜緒」 声をかけると、峯岸は何もなかったかのように顔を上げる。 予想通りの表情だったが、原田は同情するでもなく、ニヤリと笑った。 「アイツらはああ言っているが、俺はどうもそう思えねぇ 今回の事件は、長州者ではないと思うんだ」    
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