第十四章:三条制札事件

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その後の拷問の結果、彼らは土佐藩士であることが分かった。 主な人物は、藤崎吉五郎と、宮川助五郎。 互いの関係の悪化を避けるため、土佐藩は急遽新選組との酒の席を用意した。 そして、今回の事件は、お互い水に流すという形で、三条制札事件は呆気なく幕を降ろした。 ───── ── 「長州ではなかったが、まさか土佐だったとはな 土佐は幕府寄りの藩だったはずなのにな」 これも、幕府の威信が落ちている証拠。 そんな原田の嘆きを隣で聞きながら、峯岸はどこか遠くを眺める。 『こんな時代だから、仕方ないですよ 今は喧嘩してるけど、すぐに仲直りしますって』 「当たり前だ たとえ威信が下がろうと、幕府が滅びることは絶対ないからな」 『はい』 それは、この時はまだ当たり前の常識。 幕府は、永遠に続く。 その常識が、わずか数年後には崩れることになろうとは。 このときの二人は、まだ思いもしなかった。
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