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そして、時は流れて。
ある年の春、とある小さな村。
「父さん、母さん、見て!
桜の花びらつかまえたよ!」
咲き誇る桜の木からはらりと散った桜の花びらを、辺りを駆け回っていた少年が、はしっと捕まえる。
両親と思われる二人に、にんまりと得意気な笑顔を浮かべて、握られてくしゃくしゃになった桜の花びらを見せつける。
「あっ、お兄ちゃんずるーい!
なみもつかまえるもん!」
頬を膨らませた少女が、兄と呼んだ少年に続こうと、不規則に舞い散る桜の花びらに挑みかかる。
その様子をじっと見ていた少年は、しかしすぐに妹と一緒に、桜の花びらを捕まえようと格闘を始めた。
「おーい、あまりはしゃいでると、転んじまうぞー」
少年等の父と思われる人物が、言葉とは裏腹に、幸せそうな表情で注意をした。
筋肉質で、見るからに短気で不器用そうな男。
原田左之助。
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