第二十四章:無愛想さんと槍遣い

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『えっ…京に…?』 突然の原田の提案に、菜緒は困惑の表情を浮かべる。 『でも…』 「ああ、まだその時期じゃねえってことは分かってる …今京に行ったら、俺たちだけじゃなくて、子供たちも危険だ」 旧幕軍を狙った残党狩りは、落ちついてきたとはいえ、まだ完全に終息したわけではない。 菜緒はともかく、悪名高い新選組幹部であった原田は、顔が割れているのだ。 「勿論今すぐにではないさ …でもよ、いろいろあったけど、新選組の連中と過ごして、沢山揉め事して楽しんで、何よりも菜緒と出会えた場所なんだ いつかは戻りたいって思わないか?」 言い終えてから、菜緒は新選組への思い入れが自分ほど強くはないことを思い出す。 そして、自分よりも遥かに複雑な気持ちで今の京のことを思っていることも、知っている。 少し不安を抱きつつ、菜緒をちらりと見る。
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