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『では、失礼します』
「お、おう」
峯岸が去るとき、長い髪が鼻をかすめた。
稽古の後だというのに、汗臭さは一切感じられなかった。
「左之、誰だァあの女みてぇな面してる奴
見掛けねぇ顔だな」
「ああ、アイツは峯岸直っつー奴で、うちの隊の奴だ」
「へーえ…」
永倉は峯岸の去った方角を見ていたが、飽きたようですぐに道場の扉に手をかけた。
「よっしゃー!オメーら、稽古始めるぞー!!」
「この原田様と打ち合いてェ奴は出て来ーい!!」
ふははははと道場破りのように現れた組長二人の登場に、至るところから悲鳴があがった。
「隊長!是非とも稽古をつけてください!」
「よーし、いくらでも来い!」
わんさかと集まってくる隊士の稽古をつける二人。
結局稽古が終わったのは、すっかり日が暮れた頃だった。
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