1631人が本棚に入れています
本棚に追加
「(くっそー…こりゃあ、明日までに酔い覚めねぇな…)」
屯所に着くまでに、奇跡的に浪士とは出会わなかった。
時々壁に激突しそうになりながら、自分の部屋に向かう。
視界に誰か入った気がするが、気にかける余裕もなかった。
「おっと…」
再び足元がフラつき、必死に体を支えようとする。
しかし、それは叶わず、体が徐々に壁際へと向かう。
「おわっ!!」
壁に頭を強打し、さすがに酔いが覚めた。
いててて…と漏らしながら額を摩っていると、自分と壁の間に人がいることに気付いた。
「(ん?何だ、この感じ…)」
その人物は、男所帯では味わえないと思っていた、柔らかい肌をしていた。
肩幅も自分より異常なほど狭い。
『…隊長さん、無事ですか?』
「みっ…峯岸!?」
いつもの峯岸の無表情な顔に、わずかな驚きと盛大な呆れが混ざっている。
しかし、今の原田には、そんなこと重要ではなかった。
最初のコメントを投稿しよう!