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ハルルの木が結界の役割をしていたハルルの街に、未だその木はある。
その木を横目に、
ユーリは草原を歩いていた。
「どこだっけな……」
あまり来る用事もないから、
うろ覚えなのだ。
大人しくハルルに住めばいいものを。
そういえば、あのお姫様もまだザーフィアスにいる。
二人とも、ハルルに住む夢はどうした。
「ったく…………なっ!?」
瞬間、地響きが辺り一帯を襲った。
(まさか!?)
地面に膝をつきながら見回す。
するとそこには、
(ギガントゴーレム!!)
おそらくこの世界の魔物の中で一番大きいに違いない巨体が、
全身を使って地響きを奏でていた。
(なんでこんな時にっ……)
ハルルの人たちはよく生きていられるものだ。
それにしても、騎士団は何をやっているんだ。
こんな魔物、なぜ放置しているのか。
(って、そんなこと考えてるわけにはいかねえっ)
隠れる場所を探すが、
ここが草原だということに気がついた。
(くそっ………)
諦めかけた瞬間、
『こっちよユーリ!!!!』
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