~その、暗き森に咲く花に~

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帝都の下町は相変わらず騒がしいし、ハルルは毎日観光客で賑わい、あのオルニオンでさえ既に帝都並の繁栄を見せている。 静かに過ごすには森奥深くのこの家が一番なのだから、追い出されては敵わない。 「はあ……わかったわよ。久しぶりにあの子にも会いたいしね」 そう言ってリタは壁に掛かった鎖を取った。 ただの鎖ではなく、護身用だ。 「さ、行くわよ」 「結局行きたいんだな」 「なっ…んなわけないでしょ!!あんたが休めっていうからしかたなく…」 「へいへい、そういうことにしといてやるよ」 「あんたねえ……」 リタが睨み付けるが、ユーリは軽く受け流した。
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