第一章

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 入った奴はきっと、俺以上に物好きなんだろうな。それか、余りの恐怖でやむなく入部したヘタレ野郎か。  ……ってか、始めは逃げていたけど、後々お願いされてここまで来た俺は物好きと言えんのか? まいっか。 「私の顔を見るなり逃げ出すとか、ホント失礼な子達よねー」  当時の事を思い出したのか、腕を胸の前に組んでプリプリと怒る先輩。いや、たぶん先輩の顔じゃなくて、撃つであろうSPASを見て逃げたんだろうと思うが、あえて言わないでおく。 「ところで、苺は一体いつになったら戻ってくるのよ? かれこれもう十分も遅刻してるじゃない」 「マイか? マイならあの「用事がある」って言って帰ってったぞ。たぶん、お前の携帯にも連絡が入ってるはずだ」  火野先輩の言葉に、先輩は下駄箱に側に置かれたスクールバッグを開けて、携帯を見る。 「入ってたわ。……まぁ、あの子らしい理由だったから大目に見ましょう」  先輩は続けて 「私も、パーツの特売セールとかやってたら学校休んでも行くし」  と言っていた。  『マイ』って人、名前からして女の子だと思うけど、一体どんな理由で休んだんだ……スーパーの特売か? 俺が頭の中で考えた『マイ』って子を、オバサン達に紛れて食品の奪い合いをしている所を想像して笑っていると、先輩は携帯を閉じるなり「さて」と会話を切り出した。 「苺もいない事だし、中間報告始めるわよ!  まずは私! 私は見ての通り芽藤君にサバゲをやらせる兼あわよくば入部させる為に連れて来たわ! 以上!」  一歩前に出て手後ろに回した先輩が報告を終えると、俺の隣に戻るなり「期待してるわよっ」と、俺の肩をポンポンと叩きながら言った。  ご期待に応えてやろうじゃないの。
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