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「あの~、すいませんが――」
「ねぇキミ、一回だけでもいいから私達とサバゲしない?」
うわっ、言うタイミング間違えた……。
こうなりゃ適当に理由を見繕って断る方向に持って行こう。
「まぁ、やってみたいっちゃやってみたいですけど……俺、エアーガンとか今持ってないですし……」
「大丈夫、私のファイブセブン貸してあげるから。ガスブローバックの」
「うっ……いやっ、でも俺、理科室の扉が倒れるほどの威力を持つ弾なんて食らいたくないですし……」
「あぁこれ? これはSUPASでやったんじゃなくて、私が蹴って倒した物よ?」
紛らわしいな……。
「って言うか、エアーコッキングガンで扉が倒せるはずないじゃない」
「……ですよねー」
まるで俺の質問が事前に知らされていたかのようにポンポンと返す少女に、俺は口の端を引きつらせて辟易する。くそぅ、もう理由がみつからねぇ……。
「お願いっ! 一回だけでもいいから私達と一緒にサバゲーしよ? ねっ?」
そう言ってズイッと顔を寄せて俺の手を握る彼女に、俺の心臓はドキンッと大きな高鳴りをあげた。
(なんだ、この気持ち……)
俺はほぼ目の前にある少女の真剣な顔に、思わずゴクリと生唾を呑む。
健康的な白い肌に、キュッと結ばれた唇は淡いピンク色。ぱっちりとした目。
そして降ろしたら腰まであろうココアブラウンの髪は真紅のリボンでポニーテールにされており、彼女から香るアップルミントのような香りは俺の鼻孔を優しく擽った。
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