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やばい、可愛い。
この人から逃げてた時は顔なんてロクに見れなかったし、そもそも、なんで追われてんのかわからなくてテンパッてたからそれ所じゃなかったけど。今、改めて見ると、この人は今まで出会った事のないくらいとびっきりの美少女だ。
そんな人が今、俺の手を握って必死にお願いをしている……。
こんなめったにないシチュエーションを前に、男なら断るか?
答えは、ノーだ。
「一回……だけですよ?」
俺はよっこらしょっという感じに教卓の下から脱出し、ゆっくりと立ち上がる。もちろん、握られた手を使わずに……だ。女の子の手なんてあんまり握れるモンじゃないしな。今の内に沢山握っておきたい。
「ホントに!? 一回だけと言わずに、入部すれば毎日できるよ!」
「いえ、あくまで一回だけです。それまで面白かったら入部を考えます」
「むー、残念」
彼女は期待した返事が返ってこないのが気に入らないのか、ほっぺたを膨らませてむくれる。
大丈夫、入部はするさ。こんな可愛い先輩と友達になれるんだ、入部しないはずがない。
でも、俺はあえてすぐに「入部する」とは言わない。先輩には二度喜んで欲しいからな。
「でもよかった! 今部員が少なくてさー、フラッグ戦もろくにできないから人数集めたかったんだよね」
まずは一度目。
「そうだったんですか……まぁ、こんな俺でよかったら人数の足しにしてください」
「うん!」
先輩はヒマワリのような笑顔を見せながら大きく頷くと、「あっ」となにかを思い出したように俺から手を離し、手のひらをポンッと胸の前で合わせた。
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