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零は目をあけた。
生きてるのか?俺は?
家か?ここは?
「気が付いたか?」
ようやく目の焦点が合い、声の主を見ることができた。背の高い奇麗な女性だった。
「まったく、道端で倒れていたから何事かと思ったぞ。私はカリヤと言う。名は何だ。」
「俺は零です。あれ?」
辺りを見渡す。少女がいなかった。
「他に誰かいなかったか?」
カリヤは首を横に振る。
零は無理に起き上がろうとする。
「いかねぇと・・・また奴らに・・・」
「落ち着け。そんな体では無理だ。いくら治癒魔法をかけたといっても動くな。」
「魔法?魔法なんてあるわけないだろ?」
「何を言っている?魔法がなければ生きていけないぞ?お前、どこから来たのだ?」
魔法なんてあるわけない。
いったいなんなんだ?まるで世界が違うみたいじゃないか?
「日本の東京だ。」
「日本?東京?知らないな。」
東京どころか日本も知らない?
「じゃあ・・・ここはどこなんだ?」
「ここはアシリカ王国のはずれだ。」
アシリカ?零には聞き覚えのない国名だった。
「私はそこの軍の連隊長をしている。」
頭がおかしくなりそうだった。
「魔法も知らないとはな。魔法と言うのは人の中にある力でな。それを使うことでさまざまなことができる。例えば暖炉だ。」
カリヤは暖炉の前に行くと手をかざした。
するとカリヤの足元にいくつもの紅色の円が現れる。
「足元にある円は魔法陣だ。これで魔法が使える。」
すると暖炉に火が灯った。
「す・・・すげぇ。」
「これは生活の範囲だが、人には固有魔法と言うものがある。」
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