3人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
それは放課後。
沙耶と再び合流し、いつものように見慣れた道を歩いていた。
二人はいつもバスに乗って学校にくるので今日もバス停の前に座って待つ。
時間が時間で近くには誰もいない。
「あと、どのくらいでバスくるんだ?」
「もう5分もないわよ。てか、自分も携帯あるんだからそれでみなさいよ。」
「いいだろ?別に。減るもんじゃないし。」
まぁめんどくさかっただけだが。
それを正直に言えばどうなっていたことやら。
「私はあんたの召使いじゃないんだからね?わかってる?」
「あ~はいはいわかって・・・」
いつものように適当に言って過ごそうと思ったとき、「助けて。」
ふと何かが聞こえた。
助けを求める女の声が。
「どうしたの?」
沙耶が聞く前に零はバス停の反対側にある林の中に進んでいく。
そのあとを沙耶もとりあえずついていくことにした。
「ねぇ。もしかして何か聞こえたの?」
「ああ。助けを求める女の声だった。」
「あんたってさ、たまにすごいわよね。私には何も聞こえなかったのに。」
そうなのだ。なぜか俺は生まれつき耳がよかった。それだけじゃなく、反射神経、運動も大体の事が俺には容易にできた。
そして耳が良く聞こえるのは意外に役に立つものだった。
林の奥に足を進めるとそこには案の定女性といかにも怪しげな男性がいた。
おそらくストーカーかなんかだろう。
「おい。おっさん。あんたなにしてんだ?嫌がってんだろ。」
その男性はこちらにやっと気付き、一目だけこちらを見た。
そしてこう言い放った。
「お前達には関係のない事だ。」
そして再び女性に手が伸びる。
「ひっ!」
怯えて動く事すらできない女性に男性の魔の手が忍びよった。
「反省の余地なしっと!」
その瞬間、零は男性に向かってドロップキックをかました。
「ぐあっ!」
男性はおもいきり木に打ち付けられ打ち所が悪かったのかかなり痛そうにする。
最初のコメントを投稿しよう!