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「いえ。いいんです。気にしないでください。」
それはあなた達が持つべきものですから。
彼女は最後にそう言ったような気がした。
『え~次は〇〇市~〇〇市~』
「私はここで降ります。ありがとうございました。また、会いましょう。」
「気を付けてくださいね。」
小さく手を振ると振り替えしてきた。
最後まで見送った後、バスは走りだした。
「あんな事もあるんだな~」
「そうね。女の子の一人は危険だから。」
「お前は別の意味で危険だろうけどな。」
ふいに背中に寒気が走る。
しまった、いいすぎたか・・・
とっさに頭をかばう。
だが、沙耶はムッと頬を膨らませた。
「女の子は誰だって守ってほしいのよ。」
あれ?殴られるかと思ったが、危機を乗り越えたのか?
「まぁ、そんときになったら俺が守ってやんよ。」
「言うじゃない。じゃあ期待してみようかな。」
互いに笑い合った。
そして時は過ぎ、二人はそれぞれの家に帰った。
零は家に帰りベットに横になった後も考えていた。
それはあなた達が持つべきものですから。
「確かに言った気がしたんだがな。やっぱ勘違いか?」
もらったお守りを再び見る。
お守りというより、ペンダントに近かった。
色は琥珀色で形はビーダマのように丸い。
光に反射して光る姿はきれいだった。
その時だった。
「あれ?空が・・・黒い?」
ふっと明かりは消え、暗いではなく、黒い。
しかしその中でお守りだけが光輝いていた。
いや、その光がさらに強くなり、目も開けられないほどに輝く。
やがてすべてを包み込む。
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