第五章 東海道中膝栗毛……?

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道中、こんなことばかり……といっても、殆どは地蔵と河童が珍道中を繰り広げ、疲れはするものの退屈はしませんでした。 急ぎの長旅、府中を過ぎ七里の船渡しで宮へ。そして四日市に坂下と鈴鹿峠。 山道をてくてくと歩き到着は甲賀。 「さて、奴らの居場所はどこなんでい」 地蔵が茶畑を眺めながら言うのへ、達磨が山を指差します。 「甲賀の修行地しかないだろう」 「……山?」 地蔵は目が点になり、天狗姫はあんぐりと口をあけ悲鳴をもらします。 「山って……飯道山?それとも岩尾山?」 「んー……、岩尾山じゃねえんですかい」 「……急ぎだけど、疲れたわ……」 天狗姫は、瞼が重いと根をあげます。 半分、徹夜で歩いてきたので、河童も頭が朦朧とすると言いだしました。 仕方ないので今日は宿で休み、翌日に岩尾山へ行くこととなりました。 たっぷりと休息をし、ひたすら歩いていけば目的地は目の前。 石段連なる参道を登りきると、黒塗りの質素な門に息障寺本堂へと辿り着きます。そして、奥の院へと続く長い長い石段を登り、山道をさらに深く入っていくと、苔むした不動明王磨崖仏の巨岩がお目見えします。 またさらに、巨岩脇から続く尾根道には八十八ヶ所巡礼の小石仏が二体づつ並んで立っています。 そのように突き進んでいくと、やがて山頂へと辿り着きました。 眺めはとても良いのですが、天狗姫たちの目の前に現れている光景はあまり良くありません。
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