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少し錆ついた引き出しから包丁を取り出し、床に身体を横たえ、大きく深呼吸をする。
これが、私の最後の痛み…
そして、ゆっくりと目を閉じ
思い切り左胸の辺りをめがけて
その刃先を突き立てた―――…
―――うっ……
鋭い衝撃と激しい痛みが襲い、一気に力が抜ける
だんだんと意識が薄れ、温かい暗闇に包まれてゆく…
――もう、二度と開けられることのない瞼の隙間から、一滴の涙がこぼれて落ちた。
床に落ちたその滴は、カーテンの隙間から刺し込んだ木漏れ日に照らされ
キラキラと輝き
そして、静かに消えた…。
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