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「土方さん居たなら合図下さいよ。いきなり強烈な殺気を感じたから僕も一瞬身構えてしまったじゃないですか。」
沖田は至極楽しそうに喉で笑うと、手をひらひらさせておどけて見せた。
「どの口が言ってんだ馬鹿。結局全員斬り殺しちまったじゃねぇかよ。始末書書くの俺なんだから一人は生け捕れといつも言ってるだろ!?」
「最後の一人を斬ったの土方さんじゃないですか。」
「お前が人質取られるからだろが。」
土方は沖田から視線を外し、少女を一瞥した。
少女は未だ小刻みに震え、今はもう屍と化した大男を畏怖の瞳で見つめている。
季節はもう秋口に差し掛かっていると言うのに、服は着ると言うよりも、巻いただけな様な粗末な布切れ一枚。
土方は哀れな眼差しで少女を見遣った。
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