浅葱色の羽織

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――足音は七つ。 静寂な空気を下品に蹴破り、夜の京を駆ける、駆ける。 己等の息を殺して石橋を渡り、寝静まった民家の間を通り抜け、都の中心からも程遠い著名な茶菓子屋も横目に駆ける。 だいぶ走っただろう。 それでも、なお彼等は駆ける。 雲の切れ間から零れ出る月明りだけを頼りに京を駆ける。 止まる事は無い。 何故? 無論、奴等が来るからだ。 浅葱色の紋袴を羽織り、『誠』の一文字を背負った悪魔が来るからだ。 今、正に獲物を狩らんとして浅葱色の奴等は夜月に映える京の都を血眼で駆け回っている。
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