浅葱色の羽織

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「う……か、かかれぇ!!」 堪らず大男が怒鳴る。 下男達はそれぞれ粗末な刃物を持ち、一斉に沖田に掛かった。 飛び散る鮮血。 聞くに耐えない断末魔の叫び声。 まるで舞台の演舞の様に鮮やかに下男達を切り裂いていく沖田。 沖田総司の代名詞、名刀『菊一文字』が紅に濡れる。 「どうやら僕をナメていたようですね…」 下男の腹が切り裂かれる。 残り四人。 「正確に言えば『新選組』をですけどね」 右肩から斜めに切りつけた。 血飛沫が土を紅く染めた。 残り三人。 「僕達新選組は『誠』の文字に誓って、 ――絶対に己の『誠』を貫き通す」 喉元を引き裂かれる下男。 叫び声は凄惨なものだった。 残り二人。
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