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沖田総司の一人舞台かと思われたその時、大男は力無く立ち上がり、槍を再び構えた。
「…………。」
息をひそめ、背後から沖田の心の臓に狙いを定める。
沖田は目の前の下男達に意識を取られたままだ。
(……待てよ?)
そこで大男は気付いた。
始めは総戦力で臨めば幾ら相手が強いと言えど一端の剣士、負けるはずは無いと高を括っていた。
しかし蓋を開けてみればあれよあれよと言う間に自分の部下が一人、また一人と斬り殺され行くではないか。
この瞬間、大男は力では敵わないと悟る。
「…………ひっ…!!」
大男の濁った眼は少女をいやらしく捕らえていた。
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