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大男が勢いよく振り向いた視線の先には浅葱色の羽織りを着た剣士。
大男は慌てて小刀から槍へと持ち替える。
だが、もう遅い。
土方と呼ばれた男は右手で鞘を持ち、左手は力強く柄を握り、一気に鞘から刀身を抜刀した。
背中を横一閃に居合い斬りにすると、一欠片の慈悲も無く、修羅さながらに二撃三撃と滅多斬りにした。
声にならない叫びを上げて大男が崩れ落ちた。
土方は冷めた瞳でそれを見ると懐から懐紙を一枚取り出し、刀身に付着したまだ暖かい血を綺麗に拭き取った。
それを見た沖田も思い出した様に菊一文字を一振りしてあらかたの血を落とし、同様に懐紙で血を拭い去った。
鞘に刀を収めると小気味好い音が鳴った。
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