第一唱・ジェントルワン

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 ベンチに座る。足を組む。ちらりと見る。不機嫌な様子は無い。  オッタも子供のようにちょこんと、老人のように落ち着いて座る。 「しっぽ痛くないの?」 「大丈夫ですよ」  光景は奇妙だ。  何から質問したものか。見たままを聞く。 「紳士的ね。コーディネートは自分で?」 「町の皆さんがよくしてくれます」 「いい町ね」 「はい、とても。コミカナさんもすぐに好きになりますよ」 「そうね。プライベートだけなら最高なんだけど。別荘が欲しいわ」  海の方を見てはつい遠い目になってしまう。 「リンゴ四つ。食事はそれだけ?」 「ミルクと卵は届けていただいています」 「パンは?」 「マスターはパンが嫌いなのです」  一応、メモを取る。
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