第一唱・ジェントルワン

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「マスター?ご主人様ね。どんな人?」 「マスターのことは記事にしないでください」  コミカナは組んだ足を戻す。 「どうして?」 「マスターは魔法使いの中でも特に世俗から離れています」 「じゃあ、家は遠いの?そんな場所……あ、もしかしてあっちの断崖絶壁の方?」 「すぐそこですよ」  籠を銜えベンチを降りるオッタ。 「あ、ちょっと……」  また後を追うコミカナ。  住宅街。漆喰とレンガの家が並ぶ。  段々になっていて同じような家が緩やかな坂を下っている。  日当たりがいい。庭にはそれぞれ柑橘系の樹木が植えてある。  その中の一つ。二階建ての家の前に老人がいる。  多少ツタが絡まった家。ドアには魔方陣らしきもの。 「もしかしてあそこ?地味で半端すぎる……」
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