第一唱・ジェントルワン

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「はい、使い魔ですので」 「私、使い魔って始めて見ました!」  感動して顔を近づける。犬は目が細い。 「オッタランガラーと申します。オッタとお呼びください。以後お見知りおきを」 「あ、はい。私はクレアボヤンス社のコミカナ・カーヴァンクルです」  ポシェットを探る。 「すみません、名刺は発注中で……」 「いえ、私めは使い魔なので名刺など持ち合わせておりませんゆえ、お気になさらず」  帽子を被りなおす犬。 「ウイークリーボヤンスかい?」 「はい」 「もう少し安くなればいいんだけどね」 「そういうことは私には……」  オッタは立ったまま話に加わる。 「印刷技術の向上ですね。近いうちに毎日新聞が配られる時代になるでしょう」 「都会ならまだしも、こんなところで毎日なんて記事がなさすぎる……」  再び元気がなくなる。
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