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「はい、使い魔ですので」
「私、使い魔って始めて見ました!」
感動して顔を近づける。犬は目が細い。
「オッタランガラーと申します。オッタとお呼びください。以後お見知りおきを」
「あ、はい。私はクレアボヤンス社のコミカナ・カーヴァンクルです」
ポシェットを探る。
「すみません、名刺は発注中で……」
「いえ、私めは使い魔なので名刺など持ち合わせておりませんゆえ、お気になさらず」
帽子を被りなおす犬。
「ウイークリーボヤンスかい?」
「はい」
「もう少し安くなればいいんだけどね」
「そういうことは私には……」
オッタは立ったまま話に加わる。
「印刷技術の向上ですね。近いうちに毎日新聞が配られる時代になるでしょう」
「都会ならまだしも、こんなところで毎日なんて記事がなさすぎる……」
再び元気がなくなる。
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