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「国の情勢など急を要することもあります。今だって号外があるでしょう。あとは情報の伝達速度ですね。一般向けに普及するまでもうしばらくかかるでしょう」
唖然とするコミカナ。
「も、もしかして私よりずっと頭がいい?」
「おっと奥様。私、買い物に来たのでした」
八百屋のおばさんは赤いリンゴと青いリンゴを二つずつ持つ。
「いつもどおりリンゴ四個でいいのかい?」
「はい」
コミカナはじっと見る。手袋のようなものをはずすとやはり肉球だ。
籠の中からがま口の財布を出す。不自然な安定感。
そして触れることなく口が開く。
「あ」
声が漏れた。
オッタはあまり気にせず銅貨を二枚出した。くっついているのか浮いているのか。
籠にリンゴが四つ。支払いも済んだ。
「では、私はこれで失礼します」
帽子を脱いで挨拶をすると、手袋をはめ、籠を銜えて坂を登っていく。
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