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「籠を銜えると移動中は会話ができないので失礼しました。私に御用ですか?」
「えっと。オッタさん?取材してもいいですか?」
オッタがすっと二本足で立ち上がるとコミカナは緊張する。
「それは光栄ですが。町の方々は見慣れています。記事にはならないでしょう」
「でも、有名な方なんでしょう?」
腰が低い。そこには恐れも含まれている。
「私自身はしゃべる犬というだけです」
「でも、魔法とか使えるんですよね?」
「せいぜい届かないドアノブを回して開けるくらいの力しかありません」
「はあ」
「そんなにかしこまらないでください。私は犬ですよ」
不思議な存在だが犬だ。段々、もふもふしたくなってくるほどに。
「たしかに……」
「さ、どうぞおかけください」
「あら、そう?ありがとう」
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