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「朔おば様ー!」
……この声は
「むぎゅー」
私の膝を抱える小さな男の子。彼は私の甥っ子の太一郎。
「太一郎さん」
朔は太一郎を抱き上げた。
「朔おば様綺麗な格好してどこに行ってたんですか!?今日は太一郎と遊ぶ約束でしたよね!?」
「あら、そうでしたっけ?」
「忘れちゃったの?」
うるると目を潤ませる可愛い甥っ子。
「嘘ですわ。でも、遊ぶのはお昼からってちゃんと言っておいたはずよ」
「忘れてた!」
可愛い。啓兄様の子供とは思えない。
五歳になる太一郎は兄上に似てとても聡明な童だ。でも、まだまだ甘えん坊で、いつも私に甘えにくる。啓兄様もあんな性格だし、お嫁さんもどこか冷たい感じの人だし。
「着替えてから遊びましょ。何で遊ぶかそれまで考えておいてくれますか?」
「はい!」
「じゃあ後で私のお部屋にいらっしゃい」
朔は太一郎を床へ降ろして部屋へと急いだ。
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