涼しい木陰

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~ベンチ~ 部屋で読書も悪くないが外の空気を感じようと読みかけの本を1冊片手に持ち庭に出た。  そこには大きな洗濯カゴを持ち、必死に飛び上がりながら高めの物干しにシーツをかける彼女がいた。  あまりの必死さに少し可笑しく思い。 「クスッ♪」 と笑ってしまった。  しばらく見ていた、彼女は俺がいることに気が付いていないようだ。  (このまま見ていよう…) 本を読みながら時に彼女の様子を見たりした。  そろそろ終わるころかと顔を上げ見ると…。  シーツの波の間から眩しそうに太陽を眺め、手の甲で汗を拭い柔らかい笑みを浮かべてる彼女が見えた。  初めて見た彼女の笑顔だった。  綺麗だと思った。 「…なんか…綺麗かも…」 彼女がそう言った。  「…あぁ。綺麗だな…」 そう答えた。  俺は彼女の笑顔が綺麗だった…という意味で言った。 .
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