プロローグ

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「暑い…」 長く真っ直ぐのびた坂道を歩く。  坂の上にある、建物まであと少し…後ろを振り返れば海が見える。  タクシーに乗れば良かったと後悔しながらも、もうちょっとだからと自分に言い聞かせ足をすすめた。  大きな白い建物  「やっと着いた…」 両開きの玄関扉の脇にあるインターホンを押す。 「…」 (あれ?誰もいない?そんなことないよね?この時間に着くって連絡入れてあるはずだし…) もう一度押してみる。  「…」 どこからか犬の鳴き声が聞こえた。  その方へ行ってみる。  長い髪を後ろで束ね大きな犬と戯れている女性?男性?  「あのぅ…」 振り返る女性?男性?らしき人物。  「…すいません…私…」 「あら!ごめんなさい!そんな時間だったわね!?」 犬の頭を撫で  「ちょっと待っててね!」 と言いしなやかにかけよってきた人は長身の男性だった。 「えっと!あなた、夏希ちゃん!園田夏希ちゃんね?」 「…はい…」 「もしかして待たせちゃったかしら?」 「いえ…今、着いたところです」 「そっ!暑かったでしょ?ささ入って!」 「…はい」 長身の男性について行く。  (男性だよね?) そんな疑問を感じながらもこれから生活していく空間に足を踏み入れた。 .
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