1235人が本棚に入れています
本棚に追加
/332ページ
クセのない黒髪を掻き上げこぼれた前髪の隙間から黒い瞳で見つめられた。
「…あの…私…」
言いかけた時
「新しく入った寮生の、園田夏希ちゃん♪2年生だったわね?」
とノブさんに言われ
「あっ!はい!園田夏希です!!よろしくお願いします」
と勢いよくおじぎした。
「…ふぁあ…そう…よろしく…3年の新条蓮(シンジョウレン)…」
とだけ言い残しまだ眠そうにリビングを出て行った。
「…」
「いやぁね!新条君たら…もうちょっと挨拶のしようがあるのに…。気にしないでね!いつもあんな感じだから♪」
「はぁ…」
と言葉がもれた。
新条蓮と名乗った彼が消えた方を見つめる。
(3年生…先輩なんだ…)
それからノブさんとお茶をしながら寮での規則や案内を受けた。
夕方になろうかという頃玄関先に騒がしい声が。
「あぁ~あちぃ!ノブさんお茶!!」
大きな声とともに2人の男の子と女の子が1人入って来た。
「こらっ!!ただいまが先でしょ!!」
「はぁ~い、ただいま~」
「もぅ!何回言ってもなおんないんだから!」
「うるせぇよ!!とりあえずお茶…って…こいつ誰?」
指をさされた。
そんな失礼な男の子の横からひょこっと顔を出し、好奇心旺盛な顔で
「ノブさんが昨日言ってた新しい寮生の子じゃない?」
と爽やかな笑顔で見つめられた。
「本当!?」
と明るい声で前に出てくるもう1人の女の子
スポーツバックを投げ出し勢いよく近づいてきて両手で手を握られた。
「私、2年の川村咲(カワムラサキ)!よろしく♪」
「はい…よろしくお願いします…」
「同じ2年なんだよね?」
「えぇ…」
「仲良くしよ♪部屋も隣同士だし!」
「あっ、はい…」
「ちょっと咲ちゃん!夏希ちゃんがビックリしてるじゃない!」
「わぁ!?ごめんね」
「うぅん。大丈夫…」
明るく人なつこそうな彼女に少しホッとした。
.
最初のコメントを投稿しよう!