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人々は、魔法の存在を知った。
偉大なる探検家、ロイ=ペイシェルによってもたらされた情報は、世界を震撼させ、世界を大きく進歩させた。
瞬く間に、魔法の存在は人々に認知され、誰もが簡単に使役することができるようになった。
〝魔臓器官〟。
後に、そう呼ばれるようになった、生物の中心とも言える、〝心臓〟。
血液とともに、〝魔力〟と呼ばれる、ある種の神秘的な力を身体に送り出していることがわかり、学者たちは皆一様に驚きを隠せなかった。
……魔法の登場は、〝現界〟に存在していた全ての技術を飛躍的に上昇させた。
当たり前…と言えば、それで済んでしまいそうだが、魔法の存在はすぐに、無くてはならぬものへと、…人々の生活の中心へと移行していった。
…………だが、魔法の登場は、ある分野においては、〝超進化〟とも言うべき変化をもたらせていた。
〝戦闘〟の分野において、魔法は刺激的であり、驚異的であり、圧倒的であった。
今までの魔法を使わない兵士達五十人分の働きを、たった一人の魔法を使える兵士だけで補えるようになってしまった。
ただでさえ、戦闘訓練を積み、常人を超えた身体能力を身に付けている兵士である。それに魔法という名の凶悪な兵器が付けば、まさに鬼に金棒であった。
…ただ、唯一の救いとして、この世界には国が一つしかなかったことだ。
世界人口、約三十億人。
魔法の登場もあって、世界は一時荒れたことがあった。
今までとは違い、魔法によって行われる犯罪の数々。
だが、それもまた魔法によって沈静化され、平和が世界を満たしていた……………あの時までは。
ロイ=ペイシェルによってもたらされた〝もう一つの情報〟。
その重大さに人々が気付いてしまったのだ。
魔法という圧倒的な存在のせいで、霞んではいたが、それはもとの現界からしてみれば一大事であったことに変わりはなかった。
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