菊咲さんちの母親

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朝、目覚ましの音で起きる。 「……くぁ」 眠いが、あまり寝過ごすわけにもいかない。 我が家は大家族なので、寝過ごしたらあっという間に俺の分の朝飯なんて無くなってしまう。 健康な男子高校生であり、これから学校に行かなくてはならない身として、それだけは避けたい。 洗面所で顔洗ったり歯を磨いたりしたあと居間に向かう。 居間には誰もいなく、テーブルには何もあがってなかった。 代わりにキッチンからほんわかとした間延び声が聞こえた。 「あらあら、ごめんなさいね~~朝ごはんまだできてないの~~」 謝りながらも料理を続けるこの人物こそ、我が菊咲家のドン、メイド喫茶『Sisters』店長の菊咲御美実だ。 「おはよ~~、マー君♪」 「おはよ、母さん」 まずはいつもの朝の挨拶。 というか…… 「この歳になってマー君はいい加減恥ずいので止めて欲しいんだけど……」 「あら、マー君はいくつになってもマー君よ~~」 これもいつものやり取りだ。俺と母さん特有の挨拶と言ってもいい。 「はい、朝ごはんか~んせ~い」 そう言った母さんの前には、家族全員分の炒めものやら味噌汁やらなにやらが全て出来上がっていた。 はやっ!?! 「うわぁ、さすが母さん」 人間じゃねぇ…… 「うふふ、おだてても何も出ないわよ~~?」 おだててねーよ、引いてんだよ。
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