伊賀くノ一美代来たる

4/8
前へ
/106ページ
次へ
早速、江戸城に招待された半蔵はある場所へ案内された。 「半蔵殿も遠い伊賀の国からわざわざ来て下さって有り難い。助八殿もさぞかし嬉しかろう」 加納は志半ばで斃れた助八を心から惜しんだ。 そして、半蔵は自分より若い助八が最期は勇ましき姿だったと、伊賀の仲間達に聞かされていたのだ。 「まさか・・・拙者より若い薮田助八殿があの様な最期を迎えるとは・・・上様の為に若い命を捧げられた。助八殿はそれだけで満足であろう」 若き命を燃やして、そして燃え尽きた。助八の思いは半蔵にも感じていた。 「・・・ああ、助八殿は最期まで上様を守り抜いて死んでいったのだ。上様もさどかし悲しみに暮れていましたぞ」 命燃え尽きるまで上様を守り抜き、見事に御庭番頭の役目を果たした薮田助八。 加納もその志は心に届いていた。
/106ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加